nakaoka3の技術ブログ

2023年中に52本なにか書きます

『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』2章まで読んだ

1on1のときに id:miki_bene さんに オススメされた『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』を2章まで読んだ。

www.oreilly.co.jp

なお、この本は副題に「テックリードからCTOまで」とあるが、3章からテックリードなので、2章までだとそこまで到達していない。CTOになる予定はないので最後までは読むかはわからないが、気が向いたら3章までは読むかも知れない。

読んだのは1章の「マネジメントの基本」と2章の「メンタリング」だ。

1章は1on1ミーティング、適切なフィードバック、などの具体的なポジションによらないマネジメントの基本について書かれている。著者はアメリカのビッグテックやスタートアップ企業などでソフトウェアエンジニアや技術系の管理職をしていたような人なので、そういう組織におけるマネジメントが前提となっていそうだ。

2章はインターンやチームの新人に対するメンタリングについて書かれている。インターンの仕組みや慣習がアメリカと日本では違うと思うので、そこの差は意識する必要がある。それでも基本的なメンターとしての心構えは、日本の企業で働くエンジニアとしても参考になりそうだった。

面白いのは 「2.3 すごい上司、ひどい上司──アルファギーク」で、かなり個人的な思い入れがうかがえる節だった。

少し長いが、一部を引用する。

こういう人は「常に正解を言うことができ、難問という難問を片端から解いてしまう、チームで一番優れたエンジニアでありたい」という思いに駆り立てられています。また、人間の特性の中では何よりも知性と技術力を重んじ、その2つの点で抜きん出た者こそが意思決定者となるべきだと固く信じています。苦手なのは反対意見に対処することです。また、誰かが自分を舞台中央から追い落とそうとしているとか、自分の人気をさらおうとしているとか思い込むと、たちまち危機感を抱き、身構えます。自分こそがベストな人間だと信じていて、それを裏付ける見解や説だけを歓迎します。チームの文カルチャー化としては「卓越性」を打ち出そうとしますが、反対者を弾圧する「恐怖」のカルチャーを生むのが関の山です(『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』, p.24)

いきなり描写の解像度が上がっていた。1ページ以上の紙面を使って、「アルファギーク」がどれだけ有害なのかを語っている。具体的な人物象を思い浮かべながらでないと、ここまで饒舌には書けないだろう、と思いながら読んでいた。

2章の終わりの方まで読んでいって、ようやく著者が女性であるということに気がついた。この本が特定の性別に向けた本というわけではないが、著者の様々な経験が反映されているんだろうなと想像した。

長年、技術畑で働いてきた女性である私個人としては、性別や人種を基準にする方式には、もううんざりなのです。性別や人種を合わせることに特別な意味がある場合を除いて、メンターとメンティーの組み合わせを検討する際には、それぞれのメンティーの立場や状況に最適なメンターを選び引き合わせてあげてください。(同 p.29)

2章に「相手の言葉をよく聴き、相手の言葉で話す」ということが書いてあって、これは確かになと思った。私も1on1でメンターやマネージャーと話しているときに、「この人自分の話したいことばっかり話して、こっちの話聞いてくれないな」と思うときが最も残念な瞬間なので、自分も逆の立場のときにそうならないように気をつけたい。