nakaoka3の技術ブログ

2023年中に52本なにか書きます

『ちいさくはじめるデザインシステム』をざっと読んだ

本屋で『ちいさくはじめるデザインシステム』を見かけたので購入した。この本は労務管理のWebアプリケーション(SaaS)を作っているSmartHRが、デザインシステムを作成して導入した経験を書籍にまとめたものだ。

私は会社ではソフトウェアエンジニアとして働いており、業務ではデザインについてはデザイナーにまかせているが、デザイナー以外の人間が読んでも面白い内容だった。

ひとまずざっと全体を眺めてから、面白そうなところを拾い読みしていった。

「デザイン」だけど文章についても書かれている

デザインシステムというと、色やレイアウトを定めてUIの一貫性を高めるものというざっくりとしたイメージがあったが、文章に関することがちらほら書かれていた。「3-6 伝わる文章」「3-14 文字コンテンツ」「4-16 校正支援ツール」というように、文章に関する章がいくつもある。「なるほど、デザインシステムは色やレイアウトだけに限る必要はないんだな」という気づきがあり、面白いと思った。

p35のコラムを読むと「UXライター」という職種がSmartHRにはあるようで、いったい何をする職種なんだと思いつつも、文章にたいする関心が強い会社なのかなという印象を受けた。

原則を言語化する

p 108 に「Smart HRのプロダクトデザイン原則」というものが載っており、具体的なUI/UXを作る指針の前提となる価値観が言語化されており、これはおもしろい仕事だなと思った。発想としては、具体的な法律を作る前提に憲法があるというような感じだろうか。こういう形で原則が言語化されていると、デザインシステムを作るとき以外でも、仕事がやりやすくなるだろうなという印象を受けた。

本の色がSmartHRのブランドカラーではない

ところでこの書籍のカバーや見出しに使われている色は、Smart HRのブランドのメインカラーである青緑ではなく、水色にちかいブルーだ。ブランドのメインカラーを使わないのはなんでだろうかと疑問に思った。書籍のメインカラーでも青緑を使ってしまうと、書籍の中でロゴなどを出したときに埋もれてしまうからかも知れない。その辺はしっかり考えて作られているのだろう。

デザインシステムへの期待

デザインシステムのようなものがない状態でプロダクトの一貫性を保つためには、特定の個人が一貫性を保つためのチェックや意思決定を行わなければならない。多くの場合、その根拠はその人の頭の中にある。

デザインシステムのような文書にその役割を移譲することにより、誰が見ても根拠が明瞭であり、変更のプロセスが把握しやすくなり、民主的に変更が可能な開発プロセスになることを期待したい。

個人の考えを変更したり、変更の履歴を追跡するのは難しいけど、デザインシステムのような文書ならそれが可能だからだ。